あまりお勧めしていなかったスリーブ抜き方法  DIY

2023年11月13日

最近のクラブの殆どはカチャカチャ付きで、ロフト角やライ角が調整できるものが主流です。

調整機能が付いたクラブのシャフトにはスリーブと言って各メーカ毎に開発された

アルミ製のパーツが装着されています。

 

⇧画像はプロギアスリーブ

 

オークションや量販店中古シャフト販売などで

自身のクラブヘッドに合うスリーブ付きのシャフトを探すとなると

見つかる事は殆ど無いのが現状ではないかと思います、、、、

 

渋々、中古シャフトをスリーブ基準でシャフトのスペックを妥協して変更するか、、、

 

自身のスイングにマッチするか不明な上に不安な気持ちでリスクを背負いながら

新品のシャフトに自身のクラブスリーブを取り付けるか悩みどころです、、、(。´・ω・)?

 

リシャフト工具を持っていれば簡単にスリーブ抜きも簡単です、、、、、

欲しいシャフトのスペックだけでシャフト探しが出来ますので

中古シャフトを購入してスリーブを付け替えして

試し打ちが出来ますので、金額や自身にマッチするかどうかのリスクを軽減できます。

シャフトが合わなきゃスリーブを外してオークションか中古シャフトに出せば良いので

コスパもよいですね(^_^)/

 

違和感あるままクラブを振り続ける事も無いでしょう。(^^♪

 

 

数年前からMJリシャフト工具で簡単にスリーブ抜きが出来る方法を紹介していましたが

 

 

今回は、MJリシャフト工具を使って他の方法でやってみます。

でも、、、この方法はあまりお勧めしていませんでした。m(__)m

 

スリーブ抜き方法

1 

リシャフト工具の移動爪位置をスリーブの先端付近になるように移動させます。

(撮影で各部が見やすいように白の厚紙を敷いてます。)

かなり前寄りです、、、、ストロークが足りるのかな~?

2 

スリーブ先端に移動爪が引っ掛かる座金を、クラブヘッド取り付けボルト(M4)で取り付けます。

今回は、プロギアの取り付けボルトが余っていたのでそれを使いました。

 座金は厚さ3t以上の物が良いですね。

(今回は別作6t厚の板とリシャフト工具既存の爪板にφ4.3の穴あけした物の2種類で行いました)

 

  爪板穴加工品

作業するシャフトは、オークションで仕入れたアッタスクール5Sのピンスリーブ付きです。

これを抜いて私の愛用プロギアに変更です。

それと不要になったツアーADDIからプロギアスリーブを抜きます。

3 

スリーブの接着部分を加熱します。

持っているヒートガンはデジタルで温度表示が出るものです。50℃~600℃の表示

温度表示は出ますが、実際の吹き出し温度とは違います。

 

今回の作業で180℃の表示にセットした理由は、

実際にヒートガンで温度計を加熱してみました。

温度計から10mm~20mmヒートガンの吹き出し口を離して

数十分過熱し続けても温度計の表示が100度以上にならなかったのが

ヒートガン設定表示が180℃だったので、今回の加熱作業時の表示に設定しました。

過熱で重要なのはシャフトを回転させながら接着部分全体を加熱する事です。

しかも、温度は80℃以上110℃以下ぐらいに加熱する事が重要です。

そして、スリーブは金属なので熱が伝わりにくいです、したがって加熱時間は熱伝導を考慮し

今回は、ヒートガンの加熱温度をかなり下げて加熱しましたので、

約20分強加熱し続け、、、、

スリーブ全体に確実に温度が入るように加熱し、工具にセットしました。

 

スリーブはアルミ製なのでステンレスや鉄ほど熱伝導率が悪い事は無いですが、ある程度加熱時間は必要です。

アイアンやドライバーなどのシャフトを抜く場合は熱伝導が悪いためスリーブを抜くよりも多く加熱時間が必要です。

但し、シャフトがカーボンの場合120℃以上にならないように加熱しなければなりません。

 

4 

加熱後、シャフトを工具にセットして、工具の抜きボルトを操作します。

過熱がしっかり行われていれば、追加の加熱をしなくても簡単にスリーブが抜けます。

スリーブとソケットに隙間が見えます。

抜き取りボルトストロークいっぱいまで回しましたが

まだ脱落していません(-_-メ)

10㎜程抜けたので、ここまで抜ければ手で引っ張っても抜けます。(^^♪ 

 

ピンのスリーブは手で引っ張って抜けたのですが、プロギアはスリーブが長い為か

抜けなかったので爪をかけなおして抜きました。

 

まとめ

クラブヘッドの取り付けボルト(M4)を使って簡単にスリーブの抜き取りが出来ました。

スリーブのソケット側に爪板を引っかけて抜く方法(ソケットの分離や切除しなくてもよい分)より簡単な感じです。

 

 

お勧めしていなかった理由

 MJリシャフト工具の販売当初からこのような抜き取りが出来ないのか?

 と問い合わせが多数あったのは事実です。

 しかし、以下の理由であまりやらない方が良いでしょうと回答をしておりました。m(_ _)m

1 クラブヘッド固定ボルトとスリーブの強度が低い。(M4ネジ引張強度)

 2 工具の移動爪のストロークがギリギリ。(クラブメーカ毎に長さが違う為)

の2点です。

  

ヘッド取り付けボルトはステンレス製のようですが、スリーブ本体はアルミ製です

アルミ合金なのかもしれませんのでスリーブの正式な材質は不明で一概に言えないですが

材質A5052・M4の場合、保証荷重試験力は2370N・保証荷重応力は270N/mm2となります。

接着剤の破断強度は常温で350Kg/cm(3432.33N)です。常温ではネジが負けてしまいます。

ガラス転移点100℃付近まで接着剤を加熱すると接着剤の破断強度が約25Kg/cm(245.17N)に低下するので

確実にガラス転移点付近までの加熱が必須です。

   

  

確実に100℃付近に加熱する事が出来れば今回の様に抜く事が可能です。

但し、スリーブの材質にもよりますが、アルマイト処理のスリーブは100℃を超えて加熱すると

スリーブにマダラ模様の焼けが発生します。

      

タイトリストスリーブ抜きで失敗例(加熱しすぎでマダラに変色)

 

過熱したスリーブの温度が100℃付近で有るか見分ける方法としては

直接測るのが一番ですが、温度計が無い場合ソケットが焦げる等の変化を見極める。

もしくは今回のようにヒートガンの加熱が100℃を超えないように温度設定を行う。

  

ソケットが溶ける温度は100℃付近です。

今回抜いたピンスリーブのソケットはゴム製なのでその様な変化が無い事がわかっていたので

加熱時間を長くし全体に熱が入るように回転させながら、加熱温度が過度に上がらない方法で行いました。

 

アイアンやドライバーなどのヘッドを抜く際にも、今回の様に先にホーゼル部分の全周過熱を行い

工具にセットし抜き取り動作を行う方が安全・確実に抜き取る事が出来ますので

工具にセットしてから加熱を行って、シャフトの滑りなどが発生している方は

加熱方法を変えるのも良いと思われます。

 

リスクや特性を理解して作業を行っていただければ問題無いのですが、

稀にアイアンシャフトを抜く際でも加熱不足で工具の破損が発生する事例が有ったりもしましたので

あまりお勧めしていなかったのです。

 

幸か不幸か、このリシャフト工具はスリーブのM4ネジを破壊するまでのグリップ力が無いみたいです。

試しに加熱無しで、クランプハンドルをガチガチに締め付けて抜き取り動作を行いましたが

シャフトが滑りました、、、、(´;ω;`)ウッ…

  

シャフトクランプ力は、M4ネジのせん断力以下みたいです

なので、この工具でスリーブやヘッドを抜き取る場合は、

くどいようですが確実に接着剤の破壊(80℃以上100℃以下の加熱)が必要です。

 

 

 

最後までお付き合い下さいましてありがとうございます。(^^♪